『フォールガイ』の意味とは? 知られざる3つのメッセージ

2024年8月公開の映画『フォールガイ』、実はタイトルにこめられた意味が3つあると考えたことはありますか?

スタントマン(コルト・シーバース、ライアン・ゴズリング)が主人公の映画なので、英語のスラング

  • 「スタントマン」
  • 「身代わり・犠牲者」

の意味はご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実は

  • 3つ目の意味を、デヴィッド・リーチ監督はタイトルに込めていました

この記事では、『フォールガイ』のタイトルに込められた3つの意味、それを象徴するシーン7つを紹介していきます。

(ネタバレあるので、ご注意を)

スタントアクション満載のアクションラブコメディ、『フォールガイ』をより一層楽しめること、間違いなしの情報です!

 

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『フォールガイ』映画紹介

映画『フォールガイ』のタイトルには、3つの重要な意味が込められています。これらの意味を理解することで、物語の深層をより深く味わうことができます。

映画のあらすじ紹介です。

主人公コルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)は、かつてハリウッドで活躍したスタントマンでしたが、怪我により引退を余儀なくされていました。しかし、元恋人のジョディ(エミリー・ブラント)の初監督作品をきっかけに、失踪した主演俳優トム(アーロン・テイラー=ジョンソン)の捜索に巻き込まれます。

この展開の中で、『フォールガイ』というタイトルの3つの意味が明らかになっていきます:

①スタントマンとしての意味、②身代わり・犠牲の意味、③内面的な落ちる男(人)の意味

これらの意味が絡み合いながら、スリリングなアクション、予想外の展開、そしてコルトの成長が描かれていきます。1980年代のヒット曲やユーモアも織り交ぜられ、観客を飽きさせない構成となっています。

クライマックスに向けて、コルトはスタントマンとしての誇りと、愛する人を守りたい気持ちの間で葛藤します。この過程で、タイトルの3つの意味が融合し、観客の心に深く刻まれる物語となっているのです。

 

アクションを彩る登場人物たち

出演者 役名  
ライアン・ゴズリング コルト・シーバース スタントマン。ジョディの元恋人
エミリー・ブラント ジョディ・モレノ コルトの元恋人。映画監督
アーロン・テイラー=ジョンソン トム・ライダー 有名なアクションスター
ハンナ・ワディンガム ゲイル・メイヤー プロデューサー
テリーサ・パーマー イギー・スター トムの恋人・メタルストームのヒロイン役 
ステファニー・スー アルマ・ミラン プロデューサー志望のトムのアシスタント
ウィンストン・デューク ダン・タッカー コルトの親友でスタント・コーディネーター
ベン・ナイト ドレスラー トムのボディーガード

 

『フォールガイ』タイトルに込められた3つの意味の解説

まず一つ目の意味。映画の内容と同じ、「スタントマン」の意味です。映画撮影の現場では、危険なシーンや難しいシーンを、俳優に代わって演じるリスクを負う役割から、これらの役者のことをスタントマンと呼びます。そこから業界用語として、「フォールガイ (Fall Guy)」はスタントマンを指す意味になりました。

二つ目は、「身代わり」や「犠牲者」の意味。「フォールガイ(fall guy)」というスラングは、英語で「責任を押し付けられる人」「スケープゴート(身代わり)」を意味します。つまり、何か問題が発生した際に、その責任を取らされる役割の人を指します。この言葉は、1920年代頃からアメリカで使われ始めたとされています。つまり何らかの失敗や犯罪の責任を他人に押し付けられる人という意味合いがあります。これは物語が進むにつれて、明らかになってきます。

そして3つ目の意味は、「Fall Guy」、文字通り、「落ちる男」を意味します。これがデヴィッド・リーチ監督が比喩的に伝えたかった3つ目です。

映画『フォールガイ』では、このスラングの意味を背景に、スタントマンが映画業界の陰謀に巻き込まれるストーリーが展開されます。スタントマンとしての役割を果たしながら、主人公のコルトがどのように困難を乗り越えていくのかが見どころとなっています。

 

『フォールガイ』 意味① 「スタントマン」の象徴と表現

『フォールガイ』 「スタントマン」の意味を象徴するシーンなどを三つ紹介します。

まず、一つ目は、タイトルにあるフォールガイ (the Fall Guy)は、ご存知の通り、1980年代に放映されていたアメリカのテレビドラマのリメイクです、タイトルはこの「俺たち賞金稼ぎ!! フォールガイ」からきています。このテレビドラマは、リー・メジャーズ(エンドクレジットで警官役でカメオ出演)演じるコルト・シーバースが昼はスタントマン、夜は賞金稼ぎ(バウンティハンター)として、事件を解決していく、一話完結型の物語でした。人気があり、シーズン5まで放映されました(日本ではシーズン2までの放映)。

そして「スタントマン」の物語であることを象徴するシーンは、冒頭とクライマックスに描かれています。
まず、冒頭では、コルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)が主演俳優トム・ライダー(アーロン・テイラー=ジョンソン)の指示により一度撮影したハイフォールを再撮影し直すシーンです。これによりコルトは背中に大きな怪我を負ってしまい引退せざるを得なくなります。そして心に傷を負って恋人のジョディー(エミリー・ブラント)の前から姿を消します。

そしてクライマックス、ここでもまたハイフォールのシーンが出てきます。事件の黒幕であるトムの証言を録音したデータを持って逃亡を図るプロデューサーのゲイル達をヘリコプター上でコルトが追い詰めるシーンです。見事データを取り返したコルトが、ヘリの上からフリーフォールで落下をします。もちろん撮影現場なので、下では仲間たちがエアバッグを用意して、コルトを受け止めてくれます。

これら二つのシーンはスタントマンとしてのコルトの役割を象徴しています。

 

『フォールガイ』 意味② 「身代わり」と「犠牲」:プロットに見る象徴

『フォールガイ』 「身代わり」や「犠牲」の意味を象徴するシーンを二つ紹介します。

まず、今回コルト達が巻き込まれた事件は、トムが発端です。彼がパーティ中に、誤ってスタントクルーを殺してしまったところから始まります。そしてこの罪を、ゲイルとトムがコルトを身代わりにしようとします。だから、トムの犯罪の「身代わり」という意味が込められています。

次に「犠牲」という意味を象徴するシーンです。冒頭のコルトが怪我を負ったフリーフォール、実は裏でトムがスイッチを勝手に入れた「犠牲」でした。これにより事故が発生。トムがこの行動をとった理由は、ばかばかしいほど単純。自分より目立つコルトを許せなかったいうだけの理由です。トムは非常にナルシストで自分よりも目立つ存在を許せないキャラクターなのです。

 

『フォールガイ』 意味③ 「落ちた人」の多面的な意味:挫折と恋愛

そして最後は内面的な心情として「落ちた男(人)」の意味です。

一つ目、まず事故に遭う前のコルトは自分に自信があり、何でもできると思っていました。ところが事故を起こしたことにより自信がなくなり、プライドがずたずたになりました。これにより献身的に世話をしてくれるジョディ(エミリー・ブラント)の前にいることができなくなり、彼女の前から姿を消してしまいます。コルトはずっとそのことを後悔していました。この意味で挫折して「落ちた男」という意味を象徴します。

そして最後の意味は、監督によれば「危険を顧みないほど深い恋に落ちた人」という意味です。実際コルトはジョディのもとを去ったことをずっと後悔していました。ただ、そのことを言い出せないまま月日が経ってしまっていました・そこへジョディの初監督作品をサポートするチャンスが巡ってきました。矢も盾もたまらず、すぐにそのオファーに応じます。ところが、実際に撮影現場に着いてみると、スタントの仕事をするよりも失踪したトムを見つけることが、ゲイルの目的であることが判明します。危険な男たちに狙われつつも、トムを見つけることが、ジョディの助けになると考えて奮闘します。そして事件の陰謀が判明した後も、自分の身の潔白とジョディの作品完成のために体を張って活躍します。まさに「危険を顧みないほど深い恋に落ちた人」の意味です。

これはジョディにも当てはまります。彼女自身も、危険な陰謀の渦中にありながらも、コルトを助けるために奮闘します。彼女もまた深い恋に落ちていると言えるでしょう。

2人とも、「危険を顧みないほど深い恋に落ちた人」です。

 


映画『フォールガイ (The Fall Guy)』のタイトルにこめられた、3つの意味、7つの象徴するシーンのまとめです。

『フォールガイ』 意味①「スタントマン」

  • 冒頭のハイフォールのスタントシーン
  • クライマックスのヘリからダイブする、ハイフォールシーン

『フォールガイ』 意味②「身代わり」「犠牲」:

  • トムの「身代わり」で罪を着せられそうになる意味
  • トムの悪巧みで事故の犠牲になる意味

『フォールガイ』 意味③内面的な心情からみた「落ちた男(人)」

  • 事故により自尊心が落ちた男の心情
  • 「危険を顧みないほど深い恋に落ちた」コルトとジョディ

さすがスタントマンから監督になった、デヴィッド・リーチの作品です
タイトル『フォールガイ』に多くの意味が込められています。この映画とスタントマンへの愛が詰まった、アクション・ラブコメディを楽しんでいただければと思います。

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