Last Updated on 2025年3月19日 by フカミ
『侍タイムスリッパー(侍タイ)』の時代劇オマージュ19選:福本清三『太秦ライムライト』や椿三十郎など、なにがどこに隠れてるのかを探る記事です。
今、話題の『侍タイムスリッパー』は、タイムスリップと時代劇が織りなす笑いと感動の物語です。この映画は、予想外の展開と斬新な設定に加えて、時代劇制作への愛で観客を魅了します。斬られ役はもちろん、監督、殺陣師に始まり、撮影所所長、衣装、床山、大道具の人まで描かれており、ほんとうに現場への愛とリスペクトが伝わってきます。
助監督兼山本優子役の沙倉ゆうのさんも舞台挨拶で
「時代劇へのオマージュが詰まっています」
と語っていました。
でも、ちょっと気になることがありませんか?
- どの時代劇作品がオマージュされているの?
- オマージュのシーンはどこにあるの?
- オマージュされた作品の内容は?
この記事では、『侍タイムスリッパー』を2倍楽しむため、隠された時代劇へのオマージュを解説するガイドです。『太秦ライムライト』『無用ノ介』『ラストサムライ』などなど、名作時代劇との繋がりを一緒に探っていきましょう。
なお、私が勝手にオマージュと解釈した作品や気づけていない作品もあると思いますので、その点はご理解をよろしくお願いします。みんなでいろいろ想像すると、映画の楽しみも増えると思います。もし見つけたらコメント欄で教えてくださると嬉しいです。
さあ、一緒に『侍タイムスリッパー』の奥深い世界を覗いてみませんか?きっと、この映画をもっと楽しめるヒントが見つかりますよ!
- 東映株式会社:『侍タイムスリッパー』制作に救いの手を差し伸べた会社
- 『太秦ライムライト』:『侍タイムスリッパー』のメインオマージュ 福本清三さんは『侍タイ』の影の主役?
- 『無用ノ介』:さいとうたかお作品からのわかりやすいオマージュ
- 『ラストサムライ』:トム・クルーズ・渡辺謙の主演映画から作品名、テーマをオマージュ
- 『暴れん坊将軍』:国民的時代劇からストーリーの雰囲気と主人公名(部分)をオマージュ
- 『銭形平次』:助監督の山本優子が時代劇を好きになった理由としてオマージュ
- 『遠山の金さん』:助監督の山本優子が時代劇を好きになった理由としてオマージュ
- 『魔界転生』:『侍タイムスリッパー デラックス版』にのみ登場-主人公・高坂の初VFX撮影として、柳生十兵衛をオマージュ
- 『三匹が斬る』をもじって、『三匹が斬られる』としてオマージュ?
- 『拳銃と目玉焼』:服装とシーンに見るオマージュの妙
- 『カメラを止めるな!』:『侍タイ』のクライマックスシーンの監督のセリフオマージュ
- 『椿三十郎』:最後の名場面は黒澤明監督へのオマージュ
- 斬られ役の楽屋シーンで登場する作品:時代劇5作品と伊丹十三監督の3作品
- まとめ:オマージュを知って、『侍タイ』を2倍楽しむ
東映株式会社:『侍タイムスリッパー』制作に救いの手を差し伸べた会社
まずは映画会社の東映の紹介です。東映は、自主製作映画で予算が限られている『侍タイムスリッパー』を
「脚本がオモロイから、なんとかしてやりたい」
引用元:侍タイムスリッパー公式ページ
と世に出すために大きな役割を果たしました。東映は『侍タイムスリッパー』の世界観を支える重要な舞台です。なお、ここで紹介するオマージュ作品は、『ラストサムライ』以外は、東映の配給です。
東映株式会社は、
- 1951年設立の日本の総合映像企業
- 映画の製作、配給、興行を主な事業とし、日本の映画界で重要な位置
- 日本で唯一2つの撮影所(東京と京都)を保有
- 太秦映画村は修学旅行でも定番観光地(私も行きました)
時代劇との深い関わり:
- 1950年代から多数の時代劇作品を製作
- 『暴れん坊将軍』『三匹が斬る』など、人気時代劇シリーズを多数製作
- 京都撮影所を中心に、本格的な時代劇の製作を継続
『侍タイムスリッパー』とのつながり:
- 作品内でオマージュされる時代劇作品のほとんどが東映作品
- 東映京都撮影所が作品の重要な舞台として登場
東映の存在は、『侍タイムスリッパー』の世界観を豊かにする重要な要素となっています。この作品は、東映が長年培ってきた時代劇の伝統を現代的な視点で再解釈し、新しい形で観客に提示していると思います。
あらためて東映時代劇の作品群をみると、毎日のように観ていた時代劇のほとんどが東映作品なことに驚かされます。特に、桃太郎侍、三匹が斬る、暴れん坊将軍は大好きでした。だから『侍タイムスリッパー』が東映作品へのオマージュを多く含んでいることが、とてもうれしいです。この作品は、時代劇の伝統を尊重しつつ、新しい笑いの形を模索しているように感じられ、非常に楽しかったです。
次からは『侍タイムスリッパー』でオマージュされた作品に焦点を当てます。一つ目は、名斬られ役俳優の福本清三さんを主人公にした『太秦ライムライト』です。この作品は、斬られ役という脇役を主人公にして、どのように描いているのでしょうか。その詳細について、次のセクションで探っていきたいと思います。
『太秦ライムライト』:『侍タイムスリッパー』のメインオマージュ 福本清三さんは『侍タイ』の影の主役?
『太秦ライムライト』は、時代劇の聖地・京都太秦を舞台に、伝説の斬られ役俳優の魂を描いた感動作です。東映所属の名斬られ役俳優、故福本清三さんが主人公です。『侍タイムスリッパー』全編を通じてオマージュされており、両作品のテーマ「失われた大切なものを取り戻す」が共通しています。
2014年公開の日本映画で、東映が配給を担当。“日本一の斬られ役”として知られる福本清三が自身を演じるユニークな設定で話題を呼びました。
主要キャスト:
- 福本清三(本人役)
- 寺島しのぶ
- 大森南朋
- 峰 蘭太郎:撮影所所属の殺陣師として出演(同じ設定で『侍タイムスリッパー』にも出演
物語は、太秦の東映撮影所を舞台に、福本清三演じる主人公が斬られ役の技術と魂を若い世代に伝承しようとする姿を描きます。この設定は、『侍タイムスリッパー』の主人公・高坂新左衛門の奮闘や殺陣師・関本の指導風景と重なり、時代劇文化の継承というテーマも共有しています。
福本清三さんについて、もう少し詳しく見てみましょう:
- 1931年生~2021年没 日本の俳優
- ”日本一の斬られ役”として知られ、5万回以上斬られたと言われる
- 魅力:リアルな斬られ演技、豪快な殺陣、職人気質
- 主要作品:「銭形平次」「水戸黄門」「暴れん坊将軍」シリーズなどなど
福本さんの存在は、『侍タイムスリッパー』の世界観にも大きな影響を与えていると思います。実際、安田淳一監督は殺陣の指南役を福本さんと考えていたそうです。残念ながらお亡くなりになられたので、それはかないませんでした。高坂新左衛門が撮影所で出会う斬られ役の俳優たちは、まさに福本さんのような職人魂を持った人々なのでしょう。
エンドロールの冒頭で
In memory of Seizo Fukumoto
とあります。福本清三さんが侍タイムスリッパーの影の主役といっても良いのではないでしょうか。
『太秦ライムライト』の「一生懸命やっていれば、どこかで誰かが見ていてくれる」というセリフは、『侍タイムスリッパー』でも撮影所所長の井上のセリフにオマージュされています。
『侍タイムスリッパー』の高坂が一生懸命「斬られ役」を演じ、周りから認められていく過程で、大役をつかんだ時、撮影所所長の井上が
“一生懸命頑張っていれば、どこかで誰かが見ていてくれるんは、ほんまやなぁ”
と語るシーンにオマージュされています。この「ほんまやなぁ」はまさにオマージュを意識していますね。
この『太秦ライムライト』は、時代劇ファンはもちろん、そうでない方にも楽しめる要素が満載です。福本清三さんの真摯な演技と、それを取り巻く人々の関係が絶妙なバランスで描かれており、感動的な作品だと思います。
両作品は、時代劇文化への愛と敬意を感じさせる作品です。
次は、『無用ノ介』について見ていきましょう。この作品は、『侍タイムスリッパー』のキャラクター設定にどのような影響を与えているのでしょうか?
『無用ノ介』:さいとうたかお作品からのわかりやすいオマージュ
『無用ノ介』は、1969年の時代劇で、『侍タイムスリッパー』の『心配無用ノ介』にも影響を与えていると思います。
さいとう・たかをの原作を基に、フジテレビが制作・放送しました。主演の伊吹吾郎演じる志賀無用ノ介は、賞金稼ぎの孤独な素浪人で、我流の野良犬剣法で事件に立ち向かいます。
『無用ノ介』の特徴:
- 1話完結型のストーリー展開
- 独特な「野良犬剣法」
『侍タイムスリッパー』との関連性:
- 高坂新左衛門がタイムスリップして迷い込んだ時代劇の主人公「心配無用ノ介」は、『志賀無用ノ介』へのオマージュと考えられます。
- 髪型も似ています。
- ただし『無用ノ介』は隻眼でしたが、『侍タイムスリッパー』の田村さんが演じる『心配無用ノ介』は隻眼ではありません。
- 田村さんの口上、「お江戸の町に蠢く悪を、斬って捨てよと遣わすは、神か仏か閻魔か鬼か、世直し侍、心配無用ノ介たぁ、俺様の事よ 以後、心配ご無用!」、雰囲気は「桃太郎侍」に近いのですが、セリフが全然違うのですよね。。。
両作品は、人間臭く骨のある内容で評価され、主人公の無骨さや真摯に生きる姿勢が共通しています。
次は、『ラストサムライ』について見ていきましょう。ハリウッド製作のこの作品が、日本の時代劇と『侍タイムスリッパー』にどのように影響しているか、興味深いところです。
『ラストサムライ』:トム・クルーズ・渡辺謙の主演映画から作品名、テーマをオマージュ
個人的に大好きな映画なんですが、『ラストサムライ』って『侍タイムスリッパー』と意外と共通点が多いんですよね。2003年公開の作品で、当時は渡辺謙さんのハリウッドデビュー作として話題になりました。友達と3回も映画館で観に行ったの、懐かしい思い出です。
主要キャスト:
- トム・クルーズ(ネイサン・オールグレン大尉役)
- 渡辺謙(勝元役)
特徴的な要素:
- 西洋と東洋の文化の対比
- 武士道精神の描写
- 壮大なスケールの戦闘シーン
『侍タイムスリッパー』との関連性:
- 物語の構造とテーマに類似点
- 『侍タイムスリッパー』内の「最後の侍」は作品名が『ラストサムライ』へのオマージュ
- 異なる考えと文化や時代の衝突をテーマに共有
- 主人公が自己のアイデンティティーを再発見する過程を描写
この映画の見どころは何といっても、トム・クルーズ演じるオールグレン大尉が、武士の世界に触れることで自分のアイデンティティを取り戻していくストーリー。初めて観た時、あの雨の中の最後の戦闘シーンでは思わず目頭が熱くなりました。友人も「トム・クルーズがなぜか似合いすぎ!」と言って二人で盛り上がったっけ。
特に『侍タイ』のクライマックスで、高坂が風見(冨家ノリマサさん)と真剣勝負をするシーン。あれは『ラストサムライ』の「己の道を貫く武士の姿勢」を彷彿とさせますよね。吹っ切れた表情が似てるなって思いました。
ちなみに『ラストサムライ』の一部は東映太秦撮影所でも撮影されていて、あの福本清三さんも出演していたんですよ。『侍タイ』との縁を感じずにはいられません。今度、両方続けて観る映画会をやりたいところです。
『暴れん坊将軍』:国民的時代劇からストーリーの雰囲気と主人公名(部分)をオマージュ
次に『暴れん坊将軍』。これは完全に日本の国民的時代劇ですよね。1978年から2003年まで、なんと25年も放送された超ロングラン作品です。子供の頃、父と一緒に観ていた思い出があります。
あらすじ:第8代将軍・徳川吉宗が、貧乏旗本の三男・徳田新之助に扮装して江戸の町を巡り、庶民の味方となって悪を成敗する物語。
主要キャスト:
- 松平健(徳川吉宗/徳田新之助役)
特徴的な要素:
- 将軍の扮装という斬新な設定
- 痛快な悪党成敗のストーリー
- 時代考証と娯楽性のバランス
『侍タイムスリッパー』との関連性:
- キャラクター設定とストーリー展開の類似
- 劇中で高坂新左衛門が「暴れん坊将軍」という劇名を聞いて「上様が乱心されたイメージ」と言うシーン、思わず吹き出しました
- 「新さん」という呼び名も共通してますよね。『侍タイ』の高坂新左衛門も、周りからは親しみを込めて「新さん」と呼ばれています
- 山本優子(沙倉ゆうのさん)が「祖母が好きだった」と言及するシーンも
共通点としては、両作品とも時代劇なのに「笑い」の要素がうまく入っているところ。映画館で『侍タイ』を観た時、随所で笑いが起きていて、時代劇なのに肩の力が抜けた雰囲気が『暴れん坊将軍』を思い出させました。
時代劇って敷居が高く感じることもありますが、『暴れん坊将軍』も『侍タイ』も、気軽に楽しめるエンターテイメント性が魅力だと思います。久しぶりに『暴れん坊将軍』をみたくなりました。
『銭形平次』:助監督の山本優子が時代劇を好きになった理由としてオマージュ
『銭形平次』も時代劇ファンならお馴染みの作品ですね。1966年から1984年まで放送された長寿シリーズで、江戸の御用聞き・銭形平次の活躍を描いています。
あらすじ:江戸時代、御用聞きの銭形平次が、鋭い観察眼と推理力、そして特技の銭(寛永通宝)投げを駆使して難事件を解決します。
主要キャスト:
- 大川橋蔵(銭形平次役)
- 山田五十鈴(お静役)
- 中村勘三郎(八五郎役)
特徴的な要素:
- 平次は「江戸一番の捕物名人」として知られ、恋女房のお静と子分の八五郎(通称ガラッ八)と共に活躍
- 悪人をとらえる際に特技の銭(寛永通宝)投げによって、戦意喪失させてとらえる
『銭形平次』は、推理と剣劇のバランスが絶妙な本格時代劇で、庶民の苦悩や犯罪者の心理を丁寧に描いています。
『侍タイムスリッパー』との関連:
- 山本優子が高坂に「時代劇好きになったきっかけ」として言及するシーン
- 意外な繋がりとして、『侍タイ』の殺陣師・関本役の峰蘭太郎さんの師匠が、実は初代銭形平次役の大川橋蔵さんだったという裏話も
『銭形平次』の魅力は、単なる時代劇ではなく「推理要素」があるところ。当時としては画期的だったと思います。『侍タイ』にもそういった「時代劇+α」の発想があって、どちらも既存の時代劇の枠を超えようとしている点が似ていると感じます。
見終わった後、「昔の時代劇ってどんなだったっけ?」となり、YouTubeで名場面をいくつか観直しました。今の撮影技術と比べると素朴な感じもしますが、それがまた味があっていいですよね。
『遠山の金さん』:助監督の山本優子が時代劇を好きになった理由としてオマージュ
『遠山の金さん』も日本を代表する時代劇の一つです。1975年から1979年にかけて放送され、杉良太郎さんの代表作になりました。昔、再放送を観た記憶があります。
あらすじ:
江戸時代後期、南町奉行・遠山金四郎景元が、昼は遊び人を装い、夜は名奉行として悪を成敗する姿を描いています。
主要キャスト:
- 杉良太郎(遠山金四郎景元役)
特徴的な要素:
- 杉良太郎演じる金さんの粋な江戸っ子としての魅力
- 主人公が昼と夜で二つの顔を持つという設定。昼間は遊び人の「金さん」として町を歩き、実は南町奉行という重要な役職についているというギャップが魅力
- 悪人を桜吹雪の入れ墨を持つ「ただの金さん」として、懲らしめて奉行所に連行させる
- 特に印象的なのが「桜吹雪の入れ墨」を見せるシーン。僕が子供の頃は「一件落着!」というセリフと共に、あの背中の入れ墨を見せるシーンが大好きでした。友達と遊ぶ時に「一件落着!」って真似したりして(笑)。
『侍タイムスリッパー』との関連性:
- 山本優子が高坂に時代劇を好きになった経緯を語るシーンで言及される
『遠山の金さん』と『侍タイ』、どちらも時代劇の型にはまりすぎず、新しいエンターテイメントを目指している点が共通していますね。『侍タイ』を観た後、昔観た時代劇をもう一度見直したくなりました。
『魔界転生』:『侍タイムスリッパー デラックス版』にのみ登場-主人公・高坂の初VFX撮影として、柳生十兵衛をオマージュ
『魔界転生』は、ちょっと毛色の変わった時代劇です。1981年公開の作品で、千葉真一さん演じる柳生十兵衛が主人公。個人的には「時代劇×ファンタジー」という異色の組み合わせが印象に残っています。中学生の頃、深夜のテレビで初めて観て、「こんな時代劇もあるんだ!」と衝撃を受けました。
主要キャスト:
- 千葉真一(柳生十兵衛役)
- 沢田研二(天草四郎時貞役)
- 真田広之(宮本武蔵役)
あらすじ:
江戸時代、柳生十兵衛は幕府の命を受け、天草四郎時貞によって蘇らされた宮本武蔵などの英雄たちと戦います。
『侍タイムスリッパー』との関連:
- デラックス版では、高坂新左衛門が柳生十兵衛役としてVFX撮影に挑むシーンがあります
- このシーンは『魔界転生』の柳生十兵衛をオマージュしていると考えられます
この作品のすごいところは、当時としては大胆な設定にあります。天草四郎(沢田研二さん)が歴史上の有名な剣豪たちを蘇らせて、柳生十兵衛(千葉真一さん)と戦わせるという斬新なアイデア。若かりし日の真田広之さんが宮本武蔵役で出演していたことも、今となっては貴重な映像ですよね。
両作品とも「時代劇の枠を超えた」エンターテイメント性を持っています。『魔界転生』が超常現象を取り入れたファンタジー要素で時代劇を拡張したように、『侍タイ』もタイムスリップという要素で時代劇の可能性を広げました。
『侍タイ』では、高坂が「実際の敵がいない」VFX撮影に戸惑うシーンがありましたよね。アクション俳優が実際の相手なしで演技するという現代の映画撮影と、かつての本格的な殺陣のギャップを描いた場面。これも時代劇の変遷を感じさせるシーンでした。
*関連記事:侍タイムスリッパー デラックス版の違い:追加映像、川崎チネチッタ、写真展の魅力は?
『三匹が斬る』をもじって、『三匹が斬られる』としてオマージュ?
『三匹が斬る』は、1987年から1995年まで放送された人気時代劇シリーズで、『侍タイムスリッパー』にもユニークな影響を与えているのではないかと思います。
江戸時代を舞台に、旅する三人の個性的な素浪人が悪を斬り、庶民を助ける活躍を描いています。三人がいい味を出していて、それまでまじめな時代劇が多い中、素浪人三人の明るいトーンが私は好きでした。
主要キャスト:
- 高橋英樹:矢坂 平四郎
- 役所広司:久慈 慎之介
- 春風亭小朝:燕 陣内
特徴的な要素:
- 個性的な性格と剣術・槍術を持つ三人の主人公
- コミカルな掛け合いと真剣な剣戟シーンのバランス
- 各話完結型のストーリー展開
『侍タイムスリッパー』との関連性:
- キャラクター構成とグループダイナミクスの類似
- 高坂新左衛門の同僚三人組は「三匹が斬る」をもじって「三匹が斬られる」と呼べそうな雰囲気(なぜか斬られ役がいつも三人なので気づきました)
- 三人組の風貌や体格が『三匹が斬る』の3人と微妙に似ている
両作品の共通点:
- コメディとシリアスのバランスの良さ
- 個性的なキャラクターの掛け合いによる笑いと真剣な剣戟シーンの絶妙なバランス
- 主人公と脇を固めるキャラクターたちの関係性が作品の魅力を高めている
『三匹が斬る』と『侍タイムスリッパー』は、個性的なキャラクターの魅力を活かしつつ、時代劇の新しい形を模索している作品だと思います。
『拳銃と目玉焼』:服装とシーンに見るオマージュの妙
『拳銃と目玉焼』って知ってます?これ、実は安田淳一監督が『侍タイムスリッパー』の前に作った自主制作映画なんです。2014年公開の作品で、見てビックリしたのが制作環境。なんと8万円のカメラと750円のライトだけで撮影してるんですよ。まさにDIY精神の塊みたいな映画です。
僕、これ『侍タイ』を観てから興味を持って探して観たんですが、両作品の繋がりに「おぉ~!」ってなりました。安田監督のファンとしては、こういう小ネタ発見が楽しいんですよね。
ストーリー:
平凡な新聞配達員の志朗は、ある晩オヤジ狩りに遭った町工場の社長を思わず助けたことから、人生が急展開。翌日、社長と一緒に不良少年たちを懲らしめた様子が地元紙に載り、ちょっとした有名人に。そして、密かに想いを寄せていた喫茶店の女性店員ユキにまで「カッコいい」と言われ、「これは俺、本格的にヒーローになるしかないな」と胸に誓うのだった。
主要キャスト:
- 志朗: 小野孝弘
- ユキ: 沙倉ゆうの
- 哲也: 矢口恭平
特徴的な要素:
低予算での制作: 8万円のカメラと750円のライトという限られた機材で制作。
自主制作: 平均3.5人という少人数のスタッフで作り上げた。
ヒーロー像の描写: 普通の中年男性がヒーローとして成長する過程を描く。
『侍タイムスリッパー』との関連性
- 主人公の服装: 『侍タイムスリッパー』の
- 主人公のジャンパー姿が似てる!髪型も雰囲気も「あれ?」って思うくらい
- 夜の商店街で不良少年に襲われるシーン: 両作品ともに、主人公が夜の商店街で不良少年たちに襲われるシーンがあります。
- 主人公が覚醒するきっかけ:不良少年の襲撃がきっかけで『拳銃と目玉焼』で志朗はヒーロとして立ち上がり、『侍タイムスリッパー』の高坂は武士としての本分に目覚めます。
- 背景に『拳銃と目玉焼』のポスターが映り込むシーンもあった!(見つけた時は「おぉ!」ってなりました)
- ヒロインが沙倉ゆうのさん:これも安田作品の共通事項です。
ちなみに、映画内に登場するホンダNSXは、実は安田監督の愛車だったらしいんです。『侍タイ』の制作資金を捻出するために売却したという話を聞いて、「そこまでして映画作りたかったんだ…」と感動しました。妻と観に行った時も「このエピソード、泣けるね」って話題になったほど。
安田監督の作品って、予算の制約を逆手に取って工夫してるところが魅力的。『侍タイ』でも、東映太秦撮影所をうまく活用しながら、大作感のある映像を作り上げてますよね。そのルーツが『拳銃と目玉焼』にあったんだなって思うと、両方観るとより楽しめます!
『カメラを止めるな!』:『侍タイ』のクライマックスシーンの監督のセリフオマージュ
『カメラを止めるな!』:
『カメラを止めるな!』については今さら説明不要かもしれませんが、2017年に低予算で作られた映画がSNSなどの口コミで大ヒットした奇跡の作品ですよね。僕も当初は「ゾンビものか…まぁ暇つぶしに」くらいの軽い気持ちで観に行ったんですが、終わった後に「なにこれすごい!」って思わず声に出してました。
ストーリー: 山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた自主映画の撮影隊に本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けますが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していきます。
正直、これだけ読むと、あまり魅力的なストーリーではありませんが、このあと驚きの展開が待っています。ぜひ鑑賞されることをおすすめします。
この映画のすごいところは、前半と後半で全く印象が変わる展開と、30分以上続く長回しのシーン。濱津隆之さん演じる熱血監督・日暮が「何があってもカメラを止めるな!」って叫びながらゾンビ映画を撮り続ける…そんな物語なんですが、詳細は言わないでおきますね。未見の方は絶対に観るべき作品です!
主要キャスト:
- 日暮隆之:濱津隆之
- 日暮真央:真魚
- 日暮晴美:しゅはまはるみ
『侍タイムスリッパー』との関連性:
- クライマックスの真剣勝負の場面: 監督が「何があっても、カメラを止めるな!」と叫ぶシーンがあり、これは『カメラを止めるな!』へのオマージュです。安田監督が『侍タイムスリッパー』を制作するにあたり、『カメラを止めるな!』を研究し、参考にしたことからこのシーンが生まれたのだと推察されます。
映画館でこのシーンを観た時、僕は思わず「あっ!」って声を上げそうになりました。隣の席の妻に「わかった?」って小声で聞いたら、彼女も頷いていて嬉しくなりました。映画好きの間で通じ合う感覚って素敵ですよね。
安田監督も発言の中で、『カメラを止めるな!』を研究したことを語っていたと思います。どちらも低予算でありながら、情熱と工夫でヒットを生み出した点が共通していますよね。「予算がなくても面白い映画は作れる」っていう姿勢に勇気づけられました。実際、『侍タイ』も最初は自主制作映画だったのが、配給がついて広く公開されるようになったんですよね。諦めなければ道は開けるんだな…って思えました。
『椿三十郎』:最後の名場面は黒澤明監督へのオマージュ
『椿三十郎』は、1962年公開の黒澤明監督作品で、『侍タイムスリッパー』のクライマックスに大きな影響を与えています。いわゆる時代劇の金字塔的な作品で、三船敏郎さんが演じる粗野だけど腕の立つ浪人・椿三十郎が、藩の腐敗に立ち向かう若い侍たちを助けるストーリー。
この作品は、江戸時代末期を舞台に、腕は立つが粗野な浪人・三十郎が、藩の腐敗に立ち向かう若い侍たちを助ける物語を描いています。独特の緊迫感と洗練された映像美で、国内外で高い評価を受けました。侍タイムスリッパーのクライマックスの名演出は、黒澤明監督へのオマージュでした。
主要キャスト:
- 三船敏郎:椿三十郎役
- 仲代達矢:室戸半兵衛役
- 加山雄三:井坂伊織役
特徴的な要素:
- 黒澤明監督特有の構図と演出(雪のシーンとか最高!)
- 三船敏郎さんの「無骨だけど人情味ある浪人」の演技
- 仲代達矢さんとの最後の決闘シーン(これがもう芸術)
特に有名なのが、ラストバトル。三十郎と敵役の仲代達矢が向かい合って、ほとんど動かないまま緊張感だけが高まっていく…。そして一瞬の斬り合いで決着がつくという、時代劇史上に残る名シーンです。
『侍タイムスリッパー』との関連性:
- 主役の二人が向かい合って動かない約40秒の間は、黒沢明監督の『椿三十郎』のオマージュ。『椿三十郎』では、三十郎と敵対する侍が向かい合い、一瞬の隙を狙う緊迫したシーンがあります。『侍タイムスリッパー』では、この緊張感あふれるシーンを忠実に再現しています。
両作品の共通点:
- 時代劇の伝統的な要素と革新的な演出の融合
- 緊張感と娯楽性のバランス
- 主人公のカリスマ性と個性的な脇役たちの魅力
両作品は表面上全然違う作品なんですが、「侍としての生き様」を描く点では共通している気がします。侍の誇りと覚悟、命をかけた真剣勝負の緊張感…そういった時代劇の本質が『椿三十郎』にも『侍タイ』にも通底しているのが魅力だと思います。
斬られ役の楽屋シーンで登場する作品:時代劇5作品と伊丹十三監督の3作品
『侍タイムスリッパー』の中で、個人的にツボだったのが斬られ役たちの楽屋シーン。よく見ると、壁に貼られたポスターやテレビの横に置かれたビデオテープが実際の映画作品だったんです!これ、何気なく観てると気づかないんですが、映画好きとしては「おっ!」と思わず反応しちゃいました。
オマージュというよりリスペクトに近いものですが、簡単に作品紹介をします。
なお、伊丹十三監督の3作品については、安田監督の自宅の中古VTRだそうです。
(出典:OTOTOY 2024年10月02日 https://ototoy.jp/news/119935)
『白馬城の花嫁』(1961):美空ひばりのミュージカルをちりばめた時代劇
あらすじ:
主要キャストがミュージカルを踊るという特徴をもつ作品。
白馬の里に住む孤児のお君は、白馬城の伝説を信じ、自分も城の花嫁になれると夢見ていた。ある夜、お君の前に現れた殿様と称する3人組は実は盗賊で、お君は彼らを本物の殿様一行と信じ込み、江戸まで同行する。
江戸で置き去りにされたお君は酒場で働き始め、一方で盗賊たちは隠した金が盗まれていたことに気づく。江戸城の御金蔵破りの罪を着せられた盗賊の頭・霧太郎は、お君との再会を経て改心を決意する。最後に白馬城で再会した二人は互いの気持ちを確認し、霧太郎の服役後を待つお君の姿で物語は終わる。
監督:沢島忠
主要キャスト:
- 美空ひばり:お君
- 高田浩吉:仲町の太吉
- 山形勲:昇り竜の富蔵
『鯉名の銀平』(1961)
あらすじ:
鯉名の銀平と卯之吉は堅気になり、五兵衛の娘お市に惚れるが、卯之吉がお市と結婚する。4年後、銀平が下田に戻ると、帆立一家が町を支配していた。卯之吉の嫉妬から騒動が起き、銀平は卯之吉の罪を被って捕まる。最後に銀平は、卯之吉とお市の幸せを願い、自ら罪を背負って去っていく。
監督:田中徳三
主要キャスト:
- 市川雷蔵:鯉名の銀平
- 中村玉緒:お市
- 成田純一郎:爪木の卯之吉
この作品と『剣に賭ける』は、大映制作です。
『花の折鶴笠』(1962)
あらすじ:
東海道馬入川の渡しで、苫の半太郎が米問屋の番頭弥佐平と盲目の娘お菊と出会う。道中、半太郎はお芳らの道中師や旅鴉朝吉と関わりながら、様々な騒動に巻き込まれる。
お菊は博徒たちにだまされるが、半太郎の助けで危機を脱し、江戸へ向かう。江戸で手術を終えたお菊のもとに、殿様と名乗る甚十郎一行が現れる。半太郎が甚十郎一行を退治し、月光の中へ去っていく。
監督:河野寿一
主要キャスト:
- 大川橋蔵:苫の半太郎
- 橋幸夫:朝音
- 北条きく子:お菊
『関東遊侠伝 利根の朝焼け』(1963)
あらすじ:
三日月の健(実は秋山健太郎)が、飯岡一家と笹川一家の対立に巻き込まれる。健太郎は小宮山剛造と助五郎の悪事を暴くため、笹川繁蔵に協力を求める。様々な陰謀や戦いを経て、最終的に健太郎は悪を倒し、恋人の小夜との結婚が近づく。
監督:河野寿一
主要キャスト:
- 里見浩太朗:三日月の健
- 久保菜穂子:お直
- 北条きく子:お小夜
『剣に賭ける』(1963)
あらすじ:
剣に憑かれた青年・千葉周作が、江戸で剣聖・浅利又七郎の道場に入門し、技を磨いていく。道場主の娘・千夜との恋、寺田兵馬との争い、諸国放浪を経て、周作は剣の真髄を学んでいく。最後に、兵馬の兄・寺田七郎太との決闘で、周作は剣の極意を悟る。
監督:田中徳三
主要キャスト:
- 市川雷蔵:千葉周作
- 高千穂ひづる:千夜
- 高野通子:お鈴
制作:大映京都
これらのポスターが斬られ役の楽屋に飾ってあるのって、彼らが参考にする「お手本」的な作品なんでしょうね。どれも「斬る」「斬られる」シーンが印象的な作品ばかり。
そして驚いたのが、テレビの横に置かれたビデオテープ。それが伊丹十三監督の3作品だったんです:
ミンボーの女 (1992):
あらすじ
ホテルがヤクザに恐喝され、従業員たちは対応に困っていました。ホテル側は、法律に詳しい女性弁護士・井上まひるを雇い、ヤクザに対抗しようとします。まひるは法律知識と巧妙な作戦を駆使して、ヤクザとの駆け引きを繰り広げます。彼女の奮闘により、ホテルを守るための戦いが展開されます。
監督:伊丹十三
主要キャスト
- 宮本信子:井上まひる(弁護士)
- 宝田明:総支配人(小林)
- 大地康雄:鈴木勇気
- 村田雄浩:ホテル支配人
制作:東宝
大病人 (1993)
あらすじ
大物俳優・向井武平は医師から余命わずかと宣告され、死を間近に感じ始めます。彼は自身の人生や家族との関係に向き合い、死の準備をしながらも苦悩します。ユーモアとシリアスな要素が混ざり合い、死生観について深く考えさせられる内容です。人生の終わりを迎える過程がブラックコメディとして描かれます。
監督:伊丹十三
主要キャスト
- 三國連太郎:向井武平(俳優)
- 宮本信子:万里子(榊田の妻)
- 津川雅彦:緒方洪一郎(医師)
制作:東宝
マルサの女 (1987)
あらすじ
国税局査察官の板倉亮子は、脱税を行う大物実業家・権藤金一に目をつけます。亮子は法律を駆使し、巧妙に隠された脱税の証拠を集めながら調査を進めます。実業家との駆け引きや緊迫した調査の様子がスリリングに描かれます。税務署の裏側と、法の力による正義の追求を描いたサスペンスです。
監督:伊丹十三
主要キャスト
- 宮本信子:板倉亮子(国税局査察官)
- 山﨑努:権藤金一(脱税実業家)
- 津川雅彦:花村(亮子の上司)
制作:東宝
まとめ:オマージュを知って、『侍タイ』を2倍楽しむ
『侍タイムスリッパー』は、本当にいろんな作品からインスピレーションを得てるんだなと感じました。時代劇好きの方なら「あっ!あれだ!」と気づくポイントが満載で、見るたびに新しい発見がある映画だと思います。
個人的に面白かったのは:
-
『太秦ライムライト』からの明確なオマージュ。福本清三さんへの敬意が随所に感じられて、エンドロールで「In memory of Seizo Fukumoto」と出た時は胸が熱くなりました。
-
『無用ノ介』からインスパイアされた時代劇キャラ設定。田村ツトムさん演じる「心配無用ノ介」の口上が秀逸でした。
-
『ラストサムライ』との精神的なつながり。アイデンティティを探す旅という共通テーマ。
-
『暴れん坊将軍』のオマージュポイント。特に高坂が「暴れん坊将軍って…上様が乱心?」とつぶやくシーン、思わず笑っちゃいました。
-
『銭形平次』『遠山の金さん』の言及シーン。山本優子の時代劇好きが感動的に描かれていて。
-
『魔界転生』の柳生十兵衛オマージュ(デラックス版のみ)。これ観るためだけでもデラックス版見に行く価値あり!
-
『三匹が斬る』をひっくり返した「三匹が斬られる」というコンセプト(これは完全に僕の妄想かも)
時代劇に詳しくなくても十分楽しめますが、こうしたオマージュを知ると、映画の見方が変わって「2倍楽しめる」んじゃないかなと思います。何気ないシーンやセリフの中に、時代劇への愛が詰まっているんですよね。
『侍タイムスリッパー』は、時代劇の伝統を尊重しながらも、新しい視点を加えた意欲作。この映画をきっかけに、古い時代劇にも興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。実際、僕も観た後に『椿三十郎』を引っ張り出してきて、妻と一緒に観直しました。何度見ても名作ですね。
みなさんも『侍タイ』を観る際は、ぜひこうしたオマージュポイントにも注目してみてください。新たな発見があるかもしれませんよ!
*関連記事:主要キャスト以外の俳優情報も満載なパンフレットの記事:『侍タイムスリッパー』パンフレット入手ガイド:発売日や内容、感想を公開
コメント