スタントの舞台裏: 『フォールガイ』に見る映画制作の真実

知られざるスタントの舞台裏についての徹底解説

この記事で取り上げるのは、以下の3つです。

  1. スタント、スタントコーディネーター、スタントに必要な準備について
  2. フォールガイのスタントチーム
  3. スタントマン出身のデヴィッド・リーチ監督

スタントマン、聞きなれた言葉です。しかしその実態は知らない方が多いのではないでしょうか。

わたしも知らなかったので、徹底的に調べてみました。

ここでは普段、映画の中で活躍する陰のヒーロ、スタントマンのお仕事について深く掘り下げていきます。アクション映画を支えるスタントを知ることで、『フォールガイ』に限らず、映画をより深く楽しめること間違いなしです!

 

この記事は

  1. 往年のTVドラマ『俺たち賞金稼ぎ!!フォールガイ』を
  2. スタントマン出身のデヴィッド・リーチ監督がリメイクした、
  3. スタントマンを主人公としたアクション・ラブコメディ映画『フォールガイ』

をもっと楽しむための特集です!

*ネタバレとあらすじを含みます。

 

『フォールガイ』映画紹介

映画『フォールガイ』は、ハリウッドのスタントマン業界を舞台に繰り広げられる、迫力満点のアクション映画です。この作品を通じて、スタントマンの仕事の実態と魅力に迫ります。

本作品のあらすじです。

主人公コルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)は、かつてハリウッドで活躍したスタントマンでしたが、大怪我により引退を余儀なくされていました。しかし、元恋人のジョディ(エミリー・ブラント)の初監督作品をきっかけに、失踪した主演俳優トム(アーロン・テイラー=ジョンソン)の捜索に巻き込まれ、再びスタントの世界に引き戻されます。

本作の最大の魅力は、リアルで迫力満点のアクションシーンです。デヴィッド・リーチ監督自身がスタントマン出身ということもあり、CGを最小限に抑えた本物のスタントが随所に盛り込まれています。これにより、観客は画面の中の危険と緊張感を肌で感じることができます。

スタントマンの仕事は、ボディースタントとカースタントに大別されます。ボディースタントは格闘シーンや落下、爆破などの身体を使った演技を、カースタントは自動車の運転や衝突を専門とします。『フォールガイ』では、これらのスタントが巧みに組み合わされ、息をのむようなアクションシーンが展開されます。

さらに、本作ではスタントコーディネーターの重要性も描かれています。スタントコーディネーターは、危険なシーンを安全かつ効果的に実現するための指揮者役を務め、監督と密接に連携しながらスタントのコーディネート、キャスティング、振り付けを担当します。

物語が進むにつれて明らかになる陰謀や裏切りのプロットは、スタントマンの仕事の危険性と表裏一体であることを示唆しています。コルトが殺人犯に仕立て上げられるという展開は、スタントマンの仕事が時として命がけであることを象徴しているとも言えるでしょう。

『フォールガイ』は、スリリングなアクション、予想外の展開、そしてスタントマンという職業の魅力的な側面が見事に調和した作品として、多くの観客の心を掴んでいます。この作品を通じて、普段は陰に隠れがちなスタントマンの仕事の実態と、彼らの技術や勇気が映画の迫力を支えている事実に、多くの観客が魅了されているのです。

 

アクションを彩る登場人物たち

出演者 役名  
ライアン・ゴズリング コルト・シーバース スタントマン。ジョディの元恋人
エミリー・ブラント ジョディ・モレノ コルトの元恋人。映画監督
アーロン・テイラー=ジョンソン トム・ライダー 有名なアクションスター
ハンナ・ワディンガム ゲイル・メイヤー プロデューサー
テリーサ・パーマー イギー・スター トムの恋人・メタルストームのヒロイン役 
ステファニー・スー アルマ・ミラン プロデューサー志望のトムのアシスタント
ウィンストン・デューク ダン・タッカー コルトの親友でスタント・コーディネーター
ベン・ナイト ドレスラー トムのボディーガード

 

映画『フォールガイ』のスタントアクションシーンまとめ21選はこちら

タイトルに込められた3つの意味と7つの象徴シーンについての解説はこちら

コルトとジョディの恋模様を軸とした詳細なあらすじ解説はこちら

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『フォールガイ』 タイトルに込められた意味

「フォールガイ(fall guy)」というスラングは、英語で「責任を押し付けられる人」や「スケープゴート」を意味します。つまり、何か問題が発生した際に、その責任を取らされる役割の人を指します。この言葉は、1920年代頃からアメリカで使われ始めたとされています。

原義としては、何らかの失敗や犯罪の責任を他人に押し付けられる人という意味合いがあります。スタントマンの世界では、実際の危険なシーンを演じることで、俳優に代わってリスクを負う役割を果たすことから、ある意味で「フォールガイ」としての側面も持っています。

映画『フォールガイ』では、このスラングの意味を背景に、スタントマンが映画業界の陰謀に巻き込まれるストーリーが展開されます。スタントマンとしての役割を果たしながら、主人公のコルトがどのように困難を乗り越えていくのかが見どころとなっています。

 

*タイトルに込められた3つの意味と7つの象徴シーンについての解説はこちら

『フォールガイ』 映画タイトル 3つの意味と象徴シーン7選(ネタバレあり)

 

スタントマンの仕事解説

まずはスタントマンが撮影の中でどんな仕事をしているのかを解説します。

 

『フォールガイ』 スタントとは?

『フォールガイ』では、数多くのスタントシーンが登場します。でも実際、スタントとはなんでしょう? それは、映画やテレビ、舞台などで行われる「妙技」や「離れ技」のことを指します。スタントは、危険なシーンや迫力のあるアクションを演出するために欠かせません。例えば、高所からの飛び降りや自動車の衝突、爆発の中を駆け抜けるシーンなど、観客を驚かせるための演技がスタントとして行われます。

スタントは、主にスタントマンやスタントウーマンと呼ばれる専門家によって実行されます。彼らは、危険な動きや複雑なアクションを安全にこなすための技術と訓練を受けています。スタントマンは、俳優の代わりに危険なシーンを演じることが多く、時には顔が見えない形で演技をすることもあります。実際、ヘルメットで隠れていたり、カメラが引き撮影されたりして、顔は写らないことが殆どかと思います。でも、映画のリアリティと迫力が増し、われわれはより深く物語に引き込まれます。

スタントの種類には、ボディースタントとカースタントがあります。ボディースタントは、格闘シーンや落下、爆破などの身体を使った演技です。カースタントは自動車の運転や衝突を専門とします。スタントマンは、これらのスキルを駆使して、映画の中で命を懸けたパフォーマンスを行います。

スタントは、ただの危険な行為ではなく、計画的で緻密な演出が求められます。スタントコーディネーターは、これらのシーンを安全に実現するための設計や指導を行い、映画のクオリティを高める役割を果たしています。スタントの世界は、われわれに驚きと興奮を提供してくれる、まさにアクション映画の心臓部なのです!

 

『フォールガイ』 スタントクルー・スタントコーディネーターのお仕事

スタントマンとスタントコーディネーターの世界は、まさにアクション映画の裏側で輝く舞台です。スタントマンは、俳優の代わりに危険なシーンを演じるプロフェッショナルで、彼らの技術と勇気が映画の迫力を支えています。

スタントコーディネーターは、これらのシーンを安全かつ効果的に実現するための指揮者です。彼らは監督と密接に連携し、スタントのコーディネート、キャスティング、振り付けを担当します。スタントコーディネーターの役割は、作品のビジョンを達成するために欠かせない存在であり、すべてのスタッフとクルーの安全を確保する責務も負っています。

スタントマンは、ただスタントをこなすだけではなく、キャラクターに似せた外見や動きを求められることもあります。スタントコーディネーターは、スタントマンがどのようなトレーニングを受けているかを把握し、適切なシーンに配置します。例えば、高所からの落下を得意とするスタントマンを、火を使うシーンに起用することは避けるべきです。

このように、スタントマンとスタントコーディネーターの連携によって、映画のアクションシーンは生まれます。彼らの仕事は、映画にリアルな迫力を与え、観客をスクリーンの中へと引き込む力を持っています。

『フォールガイ』からスタントコーディネーターのクリス・オハラは、スタントデザイナーという呼称を獲得しました。この役職は、高所からのスタントアクションなどだけでなく、格闘シーン等も含めて設計する、よりクリエイティブなリーダーという意味です。これがきっかけとなって、スタントが貢献に見合った認知を得られることをクリス・オハラは期待しています。

 

『フォールガイ』 スタントでの安全とアクションのため、撮影前の準備が大切

スタントシーンを撮影する際の準備や打ち合わせは、まるで映画の中のアクションシーンそのものです。まず、スタントコーディネーターが脚本を読み、どのシーンにスタントが必要かを確認します。次に、スタントマンやスタントウーマンをキャスティングし、彼らの得意技に合わせてシーンを設計します。ここでのポイントは、スタントマンが安全に演技できるようにすることです。

撮影前には、リハーサルが欠かせません。スタントマンは、ワイヤーアクションやトランポリンを使った動きなどを練習し、実際の撮影に備えます。安全対策として、クッションやマットを使用し、怪我を防ぐための準備も万全です。さらに、カメラアングルや特殊効果の確認も行われます。

撮影当日は、全員が一丸となって安全を最優先にしつつ、最高のシーンを作り上げるために努力します。スタントシーンは、観客に驚きと興奮を提供するための重要な要素であり、その背後には多くの準備とチームワークがあるのです。

 

ライアン・ゴズリングと撮影した監督・スタントチームの紹介

『フォールガイ』の撮影に関わったデヴィッド・リーチ監督とスタントチームの紹介をします。

 

『フォールガイ』 スタント出身監督 デヴィッド・リーチ

デヴィッド・リーチは、アメリカ合衆国出身の映画監督で、スタントマンとしての豊富な経験を持つ人物です。彼はウィスコンシン州で生まれ、アクション映画への情熱から格闘技を学び、スタントマンの道を歩み始めました。リーチは、ブラッド・ピットのスタントダブルを務めたことがあり、『ファイト・クラブ』などで共演しています。ブラッド・ピットやマット・デイモン、ジャン=クロード・ヴァン・ダムとも共演し、彼らのスタントダブルを務めた経験があります。

リーチは、スタントマンとしての経験を活かし、映画『ジョン・ウィック』で監督デビューしました。その後も、『アトミック・ブロンド』や『デッドプール2』など、アクション映画を手掛け、独自のスタイルを確立しています。

映画『フォールガイ』に対する彼の思いは特別で、この作品をスタントマン仲間への“ラブレターと位置づけています。リーチは、CGを最小限に抑え、リアルなスタントを重視することで、スタントマンの技術と情熱を映画に反映させています。彼の作品には、アクション映画への愛と敬意が感じられ、観客に新たな体験を提供しています。

 

『フォールガイ』 ライアン・ゴズリングのスタントダブルたち

映画『フォールガイ』のスタントクルーは、アクションシーンを支える重要な役割を果たしています。彼らのスキルと情熱が、スクリーンに迫力あるシーンを生み出します。

クリス・オハラは、スタントコーディネーター・スタントデザイナーとして、全体のアクションシーンを設計し、安全かつ効果的に演出する役割を担いました。彼の経験とリーダーシップが、クルー全体のパフォーマンスを引き上げています。

ベン・ジェンキンジャスティン・イートンは、スタントマンとして、危険なシーンを実際に演じるプロフェッショナルです。ベンはパルクールのスペシャリストです。ジャスティンは、格闘技に精通しており、ファイトシーンで活躍しました。

ローガン・ホラディは、父親がスタントマンでしたが、本人はレーサーの世界に一度踏み入れました。その経験を活かして、ドライビング・スタントとして、『フォールガイ」に貢献しています。

トロイ・ブラウンは、父親もスタントマンで、子供のころからその演技を現場で見てきました。クライマックスのヘリコプターからのハイフォールは、彼が演じました。父親も見ている中で、演技を決めたときは非常にうれしかったそうです。

これらのスタントクルーのおかげで、映画『フォールガイ』の痛快なアクションが成立しています。

 


このようにスタントマンを主人公とした『フォールガイ』はスタントマンへのラブレターというだけあって、出演者たちのスタンドマンたちへの愛が溢れた作品です。
劇中では、スタントマンを影のヒーローと呼ぶシーンもあり、やはり愛を感じます。

これだけスタントが展開されると、勿論その数だけ見せ場があり、114分があっという間に過ぎてしまいます。ぜひ、劇場で観ることをオススメします!

 

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